ニュージーランド(NZ)に滞在・移住する日本人にとって、資産の保全と運用は重要なテーマです。特に、銀行の定期預金(Term Deposit)は元本保証があり、金利も比較的高いため、安定した選択肢として注目されています。
しかし、将来的に日本円(JPY)に戻す可能性がある場合、為替リスクをどう考えるかが鍵になります。本記事では、NZでのTerm Depositの基本から、円転時の注意点、具体的な運用戦略までをわかりやすく解説します。
Term Depositとは?NZでの基本仕様
Term Depositは、一定期間資金を預けることで、固定金利の利息を得られる預金商品です。NZでは主要銀行(ANZ、BNZ、Westpacなど)が提供しており、期間は1ヶ月〜5年まで選択可能。預入額は最低NZD 1,000程度から可能で、居住者であれば誰でも利用できます。
例えば、2025年10月時点では、1年のTerm Depositで年利4.8%〜5.5%程度が提示されており、日本の定期預金(年利0.002%など)と比べると非常に魅力的です。
為替リスクとは?JPYへの変換を見据えた視点
NZDで預けた資金を将来的にJPYに戻す場合、為替レートの変動によって受取額が大きく変わります。これが「為替リスク」です。
具体例:為替レートによる受取額の違い
仮にNZD 10,000を1年預けて、年利5%で満期時にNZD 10,500を受け取るとします。
- 円転時のレートが 1NZD = 85円 → 受取額は 892,500円
- 円転時のレートが 1NZD = 90円 → 受取額は 945,000円
- 円転時のレートが 1NZD = 80円 → 受取額は 840,000円
このように、為替レートが5円動くだけで、受取額が5万円以上変動する可能性があります。
為替差益と税務上の扱い
日本に帰国後、NZDを円に戻した際に為替差益が出ると、雑所得として課税対象になります。例えば、預入時より円安になり、為替差益が10万円出た場合、他の所得と合算して課税される可能性があります。
一方、為替差損が出ても損益通算はできないため、損失は自己負担となります。
実践編:おすすめの運用戦略
1. 短期運用で金利ピークを狙う
NZの中央銀行(RBNZ)はインフレ抑制のために高金利政策を続けていますが、今後利下げの可能性もあるため、6ヶ月〜1年の短期運用が現実的です。
2. 満期時の円転タイミングを調整
為替レートが不利な場合は、すぐに円転せずに外貨口座に保管しておく選択肢もあります。NZの銀行では外貨口座の提供は限られていますが、日本のネット銀行(楽天銀行、住信SBIなど)を併用することで、柔軟な対応が可能です。
3. 為替ヘッジの活用
証券会社を通じて「為替予約(Forward)」や「オプション取引」を使えば、将来の円転レートを固定することも可能です。ただし、個人での利用には制限があるため、専門家への相談が必要です。
日本の外貨預金との比較
日本のネット銀行でもNZD建ての外貨預金が可能ですが、金利はNZ国内より低めです。
NZ国内で預ける方が金利は高いですが、為替手数料や円転の自由度を考えると、日本の外貨預金も選択肢になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. Term Depositは途中解約できる?
原則として途中解約は不可です。ただし、緊急時にはペナルティ(利息の一部返還)を支払うことで解約できる場合もあります。契約時に条件を確認しましょう。
Q2. 円転はどこでできる?
- NZ国内銀行:現地で円に両替する場合、為替手数料が高めです。
- 日本の外貨預金口座:NZDを送金してから円転する方が、手数料が安く、タイミングも調整しやすいです。
- NZ滞在中の利息収入:NZで課税対象(源泉徴収される場合あり)
- 円転時の為替差益:日本帰国後に発生した場合、日本で雑所得として申告が必要
税務処理は複雑なので、税理士や専門家に相談することを推奨します。
まとめ:NZでの資産運用は「為替を味方につける」ことが鍵
Term Depositは、NZでの資産運用において安全性と利回りのバランスが取れた選択肢です。将来的な円転を見据えるなら、為替リスクを理解し、タイミングと手段を工夫することが重要です。
NZの道路標識や医療制度と同様に、日本との違いを理解することで、より安心して資産を運用できます。この記事が、NZでの生活と資産形成の一助となれば幸いです。

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